ある暑い日

空が厚い幕に覆われているのに、何でこんなに暑いんだ・・・
俺は空を見上げる
曇っている
太陽は、厚い厚い雲の上に隠れて
隙間から下を見下ろしている

向こう側は、晴れている
こちらは曇っているのに
何だか不公平な気がした

そんな俺の気持ちを察したのか、隣で一緒に歩いていた友人は、何も言わない

しばらく、歩く音が響く
赤いジャージを着て、大きな鞄を肩に掛け
7時ちょい過ぎ、俺らは国道を歩いていた

休日の国道だというのに、車は通らない
蒸し暑さと、足音が広がり、ふわりと消える
風は吹かず、隣で友人のハルがタオルで顔を拭う

周りからは、煩いくらいの蝉が季節を間違えて、狂ったように鳴いていた
近くからは、駐車場に車が止まっていないコンビニのドアが開く軋んだ音
南を向けば富士の山が

だが、どれも背景やBGMには足らない物だった
何故なら、全て毎日のように見飽きた物だからだ

今まで十数年、この町で生きてきた
高いビルも無く
一番高いのはターミナルビルに入ったデパート
何処からでも富士山が見え
田舎でもなく、都会でもなく
道の端に畑があり、疎の後ろに家電量販店
何とも不可思議な光景だ

だが、この町はそれが普通
常識知らずで
わけのわからん言葉使って
でかいビルには驚いて

そんな所だったが俺は好きだった

「何か無茶苦茶暑くね?」
ハルがタオルを鞄にしまい込み水筒を取り出す
「暑いけどよ、我慢しろよ天道さんは居ねぇんだし」
「へいへーい」
水筒を一気飲みしたあと、ハルは適当に答える
「・・・部活行くまでに無くなるぞ」
「いーんだよ、自販機でアクエリアス買うから」
「高ぇよ!薬局で買え!」
「まだ、開いてねぇよ」
「ならスーパーで買え」
「だから開いてねぇよ!」

バカな会話だ
いつも通り
この、寒冷地の町の蒸し暑い夏を、二人は歩いていた






学校の前の通り
畑が大部分を占めていて
近くには、幼稚園、ツタヤ・・・
あまり建物は無い

「・・・アクエリアスは?」
「コーラの方が旨そうだった」
「・・・先生に怒られるぞ」
「しーらね、隠しゃいいんだよ」
「無理だろ」
「やってみなきゃわからない」
「やる前から結果は見えている」

・・・バカな会話だ
二回目だがバカな会話としか言い様が無い
因みに、ハルはこの後地獄を見る事になる






部活が終わり、俺は婆ちゃん家に歩いていた
婆ちゃん家は「昭和の町並み」を残すという地域にあるが
ほとんどゴーストタウンと化している


部活の帰りに立ち寄る本屋は、ジャンプが早く入荷するから、毎週土曜にこの店に来る

本屋への道、いつも使う道

蒸し暑い中
たまに吹くようになった
涼しい風が
後ろから追い抜いて行く
俺は少しだけ立ち止まる
すると、風は
角度を変えて
変わらず流れる
いつしか
後ろから吹いていた風は
俺を足止めするように
前から吹いて来た
追い抜いた風が
帰ってきた
一つ溜息をついた
たまには
風に抗うのもいいかも知れない






    END















えー、今回は
俺の日常を小説風にね
はい、どーでもいいね
んじゃ、さいならっと