−昇る龍−七話「榊の手帳と非通知電話、」

龍也は窓の外を眺めていた、


外から入って来る風が頬をくすぐり、龍也は目をそらした、


外では蝉が鳴いている
夏が、近いのだろう



「龍也ァ!」
龍也は素早く前を向いた、

「教科書73ページの答えはァ!?」
前にいる男が怒鳴った
「3,4」
龍也はしれっと答えた
男は黙りこくった、

「先生正解っすか?」
龍也がイライラした言い方で聞いた

「あ、ああ正解だ」
男は戸惑いながら答えた、




授業終了後、龍也は職員室にいた、

「なんすか、蚊帳沼先生」
龍也が数学の授業中にいた教師に言った、


「ああ、近所の榊さんからこれ預かっててな」
蚊帳沼は龍也に黄色く変色した薄汚い手帳を渡した、

「何なんだ?それは大分古い物らしいが」
蚊帳沼は探りを入れた

「俺もよく・・・」
龍也は懐にある見覚えの無い手帳を見て首を傾げた、

(龍神伝説に関係あるのか?)
(それとも、別の事か?)


龍也が考えていると大きな音で着メロが鳴った

「携帯位切っておけよ、」
蚊帳沼は呆れて言った、

龍也が携帯を開くとそこには、見覚えの無い電話番号があった


「誰だ?」
龍也は不思議そうに携帯を耳にあてた、

「もしもし」
龍也はそう言うとすぐに耳から携帯を離した、

携帯からは凄い音量で雑音が響いていた

「か、がっ!」
龍也は苦しそうに声を上げた、
「勝俣先生!タンカを!」
蚊帳沼が叫んだ、

勝俣先生が龍也を抱き上げ、タンカに乗せた

気付くと龍也は保健室のベッドに横たわっていた、



バッ!と起き上がるとすぐに保健室の先生が歩いて来た、


「お、起きたんか」

保健の棚山先生はエセ関西弁を喋る女の先生で、
ちょっと前にケガした男子の背中を平手で叩いて停職処分になっていた、


「あ、あれ?いったい何が?」
龍也は戸惑っていた、物事の整理がつかなかったのだ、



「まあ、茶でも飲んで落ち着けや」
棚山が色の濃いお茶を差し出しため息をついた、


龍也は一口、口にふくんですぐに吐き出した、

「がはっ!ごほっ!」
龍也がむせている横で棚山が笑っていた、


「アッハッハ、どや、特製唐辛子茶の味は!」


「チクショー、勘弁して下さいよ、」
龍也が怒りながら言った


「にしても、まさか榊があんな手で来るとはなぁ」
棚山が呟いた
龍也はまた、茶を吹き出した、

「榊のオッサン知ってんですか!?」
龍也は驚き、言った


「知ってるも何も、榊のオッサンからお前の監視頼まれてんねん」

龍也は驚きを隠せなかった、



「自分、何驚いてるん?あのオッサンの顔の広さ、知ってるやろ?」


棚山が当たり前、という顔で言った、


「ま、まあ知らない事はないですけど・・・」


「うん、そんだけ喋れれば平気だな、帰って良し」


「え?でも・・・」

「帰れゆーとんのがわからんか!」

「え、あ、はい」



結局、その日棚山から榊について話は聞き出せなかった、






















    続く






暇だったので、前後編合体させました、はい、さいなら〜